解体から始まる「旧たなかや」の再生ー大阪・能勢妙見山でワークショップ第1回を開催
大阪・能勢妙見山の大鳥居のそばに、長く閉ざされたままの建物があります。かつてうどん屋として参拝客を迎えていた「旧たなかや」です。
循環葬3周年の取り組みとして、この建物を循環を体感できる拠点へと再生する「旧たなかや再生プロジェクト」。全9回のワークショップの第1回を、2026年10月11日に開催しました。
総勢約20名で取り組んだ掃除と解体の一日をお届けします。


全9回のプロジェクト、始まりの日

澄みわたる秋晴れに恵まれたこの日。能勢妙見山では木々が色づきはじめ、数日前からは落ち葉も舞うようになりました。
そんな秋の気配に包まれる中、建物の前に参加者の皆さんが集まり、プロジェクトリーダーでフォレストアテンダントの二岡の挨拶で一日がスタート(上の写真で右から2人目)。続いて、循環葬を運営するat FOREST代表の小池が、プロジェクトへの思いを語りました。

小池(at FOREST代表):
「3年前に循環葬を始めてからずっと、何もされていないこの建物がもったいないと思っていました。
循環葬を続ける中で、お客さまやご遺族の方がたくさん集まってくださるようになり、みんなで何かできないかとお寺さん(能勢妙見山)に相談して、この場所をお預かりすることになりました。
ご遺族や地域の方が憩える場所を、1年をかけて皆さんと一緒につくっていきたいと思っています」

ともに進めるのは、能勢町を拠点に人が集まる場を数多くつくっている、ものづくり集団「TEAMクラプトン」(以下、クラプトン)。「みんなでつくろう」を合言葉に、DIT(Do It Together)の手法で場づくりを進めています。
参加者は、地元・能勢町や豊中市のほか、神戸市や大阪市内から。小さなお子さま連れのご家族から、建築を学ぶ学生さん、フォレストメイト(循環葬のご契約者さま)まで、幅広い世代の皆さんが集まりました。
安全がある上での楽しさ

作業の前に、クラプトンの雄大さんと栞音さんから、3つの約束が伝えられました。
1. 物が落ちたり飛んだりする現場。走らず、上や周りを見ながら移動する
2. 解体した木材は、無理せず2人以上で運ぶ
3. 建築現場で一番事故が多いのは脚立。正しい向き・使い方を守り、ヘルメットは必ず着用する
雄大さん(クラプトン):
「1年間、誰一人ケガなくプロジェクトを進めることが一番大事です。安全にしっかり気をつけて、かつ楽しい、をみんなでつくっていけたらと思います」
午前は1階と2階にわかれて作業。1階は解体から
解体の基本は「つくったときと反対の順番」。バールとトンカチでテコの原理を使い、壁の板を1枚ずつはがしていきます。





壁の反対側にいる人に板や工具が当たらないよう、みんなで同じ面から作業する。はがした資材は置き場所を決めて集め、現場を散らかさない。そんな現場の工夫も、クラプトンさんに教わりながらみんなで覚えていきました。
カウンター上の屋根飾りは、みんなで支えながらゆっくり下ろします。




大きな板がはがれたときや、屋根飾りが無事に取れたときには、自然と拍手や歓声があがります。午前中のうちに、片側の壁はほぼ骨組みだけになりました。

2階では、ひと拭きずつ部屋を整える
2階チームは6名で、和室のお掃除。窓枠、畳、廊下、ランプの傘と、一つずつ丁寧に掃いたり、拭いたりしていきました。





窓から差しこむ秋の光が、すっきりと整った畳をやわらかく照らしていました。長く閉ざされていた部屋が、ほんの少し息を吹き返したようです。
木漏れ日の下でお昼ごはん
12時くらいから、お昼休憩。東屋や木陰のテーブルを囲んで、みんなでお弁当をいただきました。午前中に一緒に汗を流したこともあり、初対面同士の距離もぐっと縮まります。



ちなみに、「作業はいいペースでしょうか?」と、雄大さんと栞音さんに聞いてみると、返ってきたのは「まぁまぁ」の一言。ゴールまでの道のりは、まだまだ長いようです。
午後は壁を骨組みに、床をはがして
午後は全員で1階へ。まずは反対側の壁の板を外し、骨組みだけの状態にしていきます。



続いて、床はがし。木の板を1枚ずつ起こし、コンクリート部分はハンマーでたたいて砕いていきます。子どもたちも、大人に見守られながら大きなハンマーに挑戦しました。






木の板についた釘を倒す人、板を運ぶ人、力仕事を担う人。それぞれができることを見つけて動く姿が印象的でした。
釘のついた木を踏むと大ケガにつながるため、はがした板は床に放置せず、決めた置き場や袋へ。人やモノの動きを交通整理しながら、安全に進めました。

みんなで運び出し、一日で広々とした姿に
最後の1時間は資材の運び出しです。長く重たい木材や板は2人1組で担ぎ、床のコンクリート片や断熱材は袋に詰めて外へ。「重たいですよ」「釘があるので気をつけて」と、声をかけ合います。




最後に床を掃き清めると、朝は仕切りの壁や屋根飾りがあった1階が、がらんと広い空間に生まれ変わりました。

「まだ1回目だけど、達成感がすごくある!」と小池。誰一人ケガをすることなく、無事に初日を終えました。

掃除と解体から始まった、旧たなかやの再生。役目を終えた建物に人が集まって手を入れ、また次の誰かへと受け継いでいく。そんな循環が、ここから少しずつかたちになっていきます。

ワークショップには1回だけでも、複数回でも参加OK。お一人での参加や、DIYが初めての方も歓迎です。皆さんのご参加を、お待ちしています。詳細は以下の記事よりご確認いただけます。
🎙️【あわせて読みたい】TEAMクラプトン共同代表 山口晶さんインタビュー

TEAMクラプトン共同代表の山口晶さんに、at FOREST代表の小池が、みんなでつくるDITの魅力や、旧たなかやへの思いを伺いました。重いものをみんなで運ぶうちに、自然と仲良くなっている。この日の現場でも感じた様子が、言葉になっています。
文:南澤悠佳
写真:Ayaka Hirokawa