山を歩くことは、人生を歩くこと。 山好きのための未来を考える終活

イベント

「山登りってプロセスを楽しむのがすごく大事なんです。これって人生とそっくりだと思いません?」

そう笑顔で語るのは、登山・ハイキング専門の旅行会社「山旅人(やまたびと)」代表の堀祐希さん。30年にわたって、シニアの方々と山を歩き続けてきました。

2026年4月29日、「山好きのための未来を考える終活―散骨・樹木葬と違う新しい選択肢『循環葬』」を開催しました。

「これからをどう歩くか」と「最期はどこに還るか」。

一見、別々にも思える2つのテーマを行き来しながら、自分らしい人生の歩み方をゆっくり考える時間になりました。

山登りも、人生も、途中の景色を味わう

頂上だけを目指すのではなく、途中の景色や、季節の変化、人との出会いを味わいながら歩いていく。堀さんは、そんな山歩きの魅力をこう語ります。

「頂上はあくまでプロセスの一つなんです」

だからこそ、最期について考えることも、”終わりの準備”ではなく、「これからをどう生きるか」を見つめる時間なのかもしれません。

94歳、ハイカーの言葉

山旅人のお客さまの最高齢は95歳。80代・90代のハイカーは、決して珍しくないそうです。

堀さんが30年の経験から気づいた、90代ハイカーに共通する3つのことがあるといいます。

  • 好奇心が旺盛
  • いつもポジティブ
  • 今を楽しむ姿勢を忘れない

94歳の常連のお客さまは、旅の終わりにさらっと次の言葉を口にしたそうです。

「人生で今が一番楽しい」。

健康だからポジティブなのではなく、ポジティブだから健康で長生きなのだ──堀さんはそう話してくれました。

「自分らしい生き方」の延長線上にある選択

トークでは、循環葬®「RETURN TO NATURE」が生まれた背景や、自然に還るという埋葬のあり方についてもご紹介しました。

「循環葬の話を最初に聞いたとき、すごく斬新だと思ったんです」

堀さんは、こう振り返ります。

「微生物も虫も鳥も、みんな自然の循環の中にいるじゃないですか。山や森で過ごす時間を大切にしてきた人にとって、“自然に還る”という考え方は、とても腑に落ちる感覚なのかもしれない」。

一方、循環葬の小池が山旅人に出会って惹かれたのは、シニアの方々の “明るい姿” でした。

「山旅人さんには、80代、90代でも元気に山を歩いているシニアがたくさんいる。でも、メディアに出る高齢者の話は暗いものが多い。明るい姿をもっと伝えたかったんです」

山を歩くことと、循環葬が目指しているもの。
フィールドは違っても、「どう最期を迎えるか」だけではなく、「どう生きてきたか」を大切にする。そこには、どこか共通するまなざしがありました。

「その人の、自分らしく生きてきた延長線上に、お墓選びもあると思っています」。

どのお墓が正しいか、ではありません。山を歩く時間に自分らしさを感じてきた人がいるように、その先の選択もまた、人それぞれであっていい。今回のイベントは、そんな“自分らしい選択”について考える時間にもなりました。

身体と向き合いながら、これからを歩く

つま先で立ち、ゆっくり踵を下ろす。踵が地面につく直前で、また踵を上げる──これを繰り返していきます。

イベント後半では、「これからも無理なく歩き続けるために」をテーマに、日常でもできる簡単なトレーニングも教えていただきました。

山を歩くことも、人生を歩くことも、まずは自分の身体と向き合うことからはじまる。

実際に身体を動かしながら、「これから先も、自分の足で歩いていくこと」を、より身近に感じる時間になりました。

自然へ還ることを見つめる

会場では、能勢妙見山の循環葬の森の写真や映像もご紹介しました。

森を歩くこと。
土に触れること。
季節の移ろいを感じること。

そうした自然との関わりを通して、自分らしい生き方や、その先について考える。
そんな空気が、会場全体に広がっていました。

参加者の方からは、次のような声が寄せられました。

「終わり方を決めたから、今の生き方が変わったというお話に惹かれました。私もそれを体感したい」

「人間もほかの動物と同じように自然に還って眠ることが理想というお話がありました。共感します」

「山旅人さん企画で循環葬の森(能勢妙見山)へのハイキングを計画してほしい」

ハイキング企画の要望に応えるかたちで、現在、山旅人さんとのコラボ企画を具体的に検討しています。

これからも、山や自然との関わりにも触れながら、“生き方”と“その先”を地続きで考える場をつくっていきます。

登壇者プロフィール

登壇者の堀さんと小池

堀 祐希(写真右)
登山・ハイキング専門旅行会社株式会社山旅人代表取締役
1996年より登山旅行業界に携わり、「山が好き、旅が好き、そして人が大好き」という想いのもと、2002年に「山旅人(やまたびと)」を設立。いくつになっても大自然を楽しまれる方をサポートし、山を通して多くの人に夢と希望を届けることを使命とする。

小池友紀(写真左)
at FOREST 代表取締役CEO
広告クリエイティブの世界で15年活動。ホテル、コスメ、こども園などのコピーライティング、コンセプトメイキングを手がける中、先輩や祖父母の死、両親のお墓の引越しをきっかけに、日本の墓問題と向き合う。死と森づくりを掛け合わせた循環葬を創案し、2023年夏に関西・北摂の霊場 能勢妙見山にてサービスをスタート。


文:南澤悠佳
写真:Ayaka Hirokawa