技術者が行き着いた〝作らない〟選択。
M.T様 ご契約プラン:循環葬(死後契約/ご両親)
お墓探しを始めた〝きっかけ〟を教えてください。
- M.T様 :
- きっかけは、高齢の兄がパーキンソン病を患い、先祖代々の墓を守ることが難しくなったことです。兄が何十万もの費用をかけて墓じまいをするのを目の当たりにし、遺骨だけが兄の家の仏壇の横に何年も置かれたままでした。どうしたものかと考えていた時、偶然テレビで能勢妙見山の「循環葬」の特集を見たんです。驚いたことに、兄も同じ番組を見ていて、「これだね」と意気投合しました。
なぜ循環葬を選択されたのですか?
- M.T様 :
- 母は毎年ここ能勢妙見山に通っていましたし、こんな自然豊かな場所で眠れるなら最高だと思いました。また、形あるお墓は維持が大変ですし、いつか子どもや孫の世代に迷惑をかけると、兄の墓じまいを見て痛感していました。そんな時、循環葬が神戸大学の先生方と研究を重ね、遺骨を樹木の栄養として自然に還すということを知りました。父と母の遺骨が、この自然を育む力になるなんて、亡くなった両親もきっと喜んでくれるだろうと兄と話し、すぐに決めました。
循環葬に決めた、一番の理由は何ですか?
- M.T様 :
- 私は薬を作る機械の設計などをする技術屋でした。だからこそ分かるのですが、形あるものはいつか必ず作り変えたり、壊したりする時が来るんです。お墓も同じだと感じていました。また、墓石を作るには掘削したり削ったり、環境を破壊しエネルギーを使います。墓じまいをしても、あの墓石はどうなるんでしょうか、大変ですよね。そうした背景を考えると、理論的に「作らない」という選択が合理的だと思っていて、何も建てない循環葬はぴったりでした。また最近は、本当に暑い。ちょっと外を歩いたら汗だくになって、温暖化を肌で感じています。「このままじゃいけない、何か少しでもできることはないか」と思っていたので、温暖化対策につながる森林保全に貢献できる点も大きな理由でした。
ご両親のご遺骨を、循環葬した時のお気持ちは?
- M.T様 :
- 本当に清々しい時間でした。埋葬の時、埋葬する場所にちょうど太陽の光が差し込んできて、とても神秘的でした。自然そのものが両親を歓迎してくれているようで、思わず涙がうるみましたね。人の役に立つことが好きだった母も、こうして大自然の役に立てることを喜んでくれているだろうと感じました。
M.Tさんにとって、供養とはどのようなものでしょうか?
- M.T様 :
- 私は形よりも心が大事だと思っています。毎朝、「家族みんなが元気でいますように」と願うとともに、両親のことも想っています。私は、父と母の名前、生年月日、亡くなった日、そして「循環葬 妙見さん」と書いた小さなメモ紙を、財布に入れているんです。他人からするとただの紙切れかもしれませんが、これが僕自身の安心にも繋がっていて「一緒にいるよ」という気持ちの表れです。
なぜ循環葬に行き着いたのか、 これまでの人生を振り返って思い当たることはありますか?
- M.T様 :
- 若い頃から旅行が好きで色んな国に行きました。学生の頃にアメリカ大陸を横断したり、新婚旅行でニューカレドニア、他にもバリ島、オーストラリア、ハワイなど世界中を旅してきました。やりたいことはやってきたので、やり残したことはありません。好き勝手に、わがままに生きてきました。だからこそ、最後は誰かの、そして地球の役に立ちたいという気持ちに行き着いたのかもしれませんね。
M.Tさんは、どんな時に幸せと感じますか?
- M.T様 :
- 家族といる時、ですね。楽しみは他にもいっぱいあるんですけど、やっぱり、家族みんなが毎日元気でいてくれるのが一番の幸せかな。身体が元気なうちに、孫と一緒に山とか海に行けたらいいなと思いますね。
これからご自身の最期を考える方へメッセージをお願いします。
- M.T様 :
- 地球環境の変化は誰もが肌で感じていますよね。未来の子どもたちが、健やかに暮らせる地球を守るにはどうしたらいいのか。一人一人の小さな選択かもしれませんが、その意識を持つことが大切だと思います。そう考えると、循環葬という選択肢は非常に価値があるのではないでしょうか。