【専門家監修】家族が亡くなった直後にやることは?後悔しないための流れと注意点

自然葬を知る

家族が亡くなると、深い悲しみの中でも、病院からの搬送をはじめ、短時間で多くの判断を迫られます。

特に病院や施設で亡くなった場合、「葬儀社を呼んでください」と言われ、十分に考える余裕のないまま話が進んでしまうケースも少なくありません。

本稿では、ご逝去当日から葬儀後・埋葬までの流れと、知っておきたい注意点をまとめました。

ご逝去から葬儀・埋葬までの流れ【一覧】

亡くなってから葬儀・埋葬までの流れを整理すると、次のようになります。

  • 当日
    • 死亡診断書を受け取る
    • 菩提寺や近親者への連絡
    • ご遺体の搬送、安置
  • 1〜2日目:葬儀社との打ち合わせ
    • 葬儀の日程、場所、費用、形式を決定
  • 3日目以降:葬儀、告別式、火葬
    • 火葬後に、納骨で必須となる「埋葬許可証」を受け取る
  • 葬儀後
    • 相続、役所関係、名義変更などの各種手続き
    • 埋葬方法の検討・決定

都市部では火葬場が混み合っていることも多く、亡くなった翌日にすぐ葬儀を行うケースは少なくなっています。

家族にしかできない3つの手続き

葬儀社は多くの実務をサポートしてくれますが、家族としての意思決定は代行できません。以下の手続きは家族が行います。

1. 医師から死亡診断書を受け取る

死亡診断書がなければ、ご遺体の搬送や葬儀の段取りを進めることができません。葬儀社に連絡する時点で作成中の場合は、その旨を伝えておくとやりとりがスムーズです。

なお、死亡診断書の原本は役所に提出すると戻ってこないため、あらかじめコピーを3〜5部取っておくと安心です(多くの場合、コピーは葬儀社が対応してくれます)。

2. ご遺体の安置場所の決定

死亡確認後、病院や施設にご遺体をとどめておけるのは、一般的に2時間前後とされています。そのため、比較的早い段階で「どこに安置するか」を決める必要があります。

主な選択肢は、以下の2つです。

  • 自宅に安置する
  • 葬儀社の安置施設で安置してもらう

自宅に帰る場合は、敷布団・掛け布団・枕など、故人をお迎えするための準備が必要です。

葬儀社にご遺体の搬送だけの依頼も可能

事前に葬儀社を決めていない場合でも、病院や施設と提携している葬儀社に、そのまま葬儀まで依頼する必要はありません。

「葬儀はまだ決めていません。とりあえず搬送だけお願いします」

この一言を伝え、自宅や葬儀社の安置施設など希望の安置先まで搬送してもらうことで、一晩じっくり考える時間を確保できます。

3.葬儀の形式と規模の判断

葬儀の形式(一般葬・家族葬・直葬など)や規模について、最終的に判断するのは家族です。費用や段取りについて葬儀社から提案は受けられますが、

  • 故人がどのような見送りを望んでいたか
  • 親戚や関係者との関係性をどう考えるか

といった点は、家族にしかわからない部分でもあります。「大まかな方向性」を葬儀社に共有することで、その後の打ち合わせや見積もりが整理しやすくなります。

<寺院(菩提寺)がある場合は必ず連絡を>

菩提寺がある場合、僧侶への第一報は必ず家族が行いましょう。葬儀社がすべてを代行してくれるものだと思い込み、寺院への連絡を後回しにしてしまうと、納骨を断られるなどのトラブルにつながる恐れがあります。

この段階では具体的な日程調整や進行まで決める必要はなく、「亡くなったことの報告」のみで構いません。

葬儀社に任せられること

具体的な実務の多くは、葬儀社に任せることができます。

1.役所・火葬場の手続き

各種手続きに必要となる死亡診断書のコピーや「死亡届」の提出、「火葬許可証」の取得、火葬場や葬式場の予約などは、多くの葬儀社が引き受けてくれます。

2.ご遺体の処置と保全

ご遺体の搬送と安置の際、ドライアイスなどの初期処置を行ってもらえます。

3.菩提寺との具体的な進行調整

僧侶への第一報は家族の役割ですが、家族の意向が整理された後のやりとりは葬儀社が引き受けてくれることもあります。

4.相続や各種手続きの窓口

葬儀社が行政書士や司法書士といった「士業」と連携している場合は、故人の銀行口座の手続きや不動産の名義変更などの窓口の役割を担ってくれます。

葬儀後の各種手続きは、記事下部にまとめています。

信頼できる葬儀社の見つけ方|後悔しないための3つの視点

葬儀社選びは「安い・高い」だけで良し悪しを判断しにくい分野です。だからこそ、自分たちの気持ちに寄り添ってくれ、葬儀に関連することをトータルで相談できる「信頼できるパートナー」となってくれるかが重要になります。

「ファミリーメモリアル 登戸の杜」代表の片桐真樹さんによれば、次の点を意識するとよいそうです。

1. 元気なうちに葬儀社を見に行く

突然の別れは、年齢に関係なく誰にでも起こり得るからこそ、事前に知っておくことが安心につながります。

元気なうちに気になった葬儀社をいくつか訪れて話を聞き、「葬儀社ってこういう場所なんだ」と知るだけでも十分意味があります。葬儀社を訪ねるのは、「亡くなってから」に限りません。

2. 「書面」だけでなく「直接の会話」で肌感覚を確かめる

問い合わせの際、メールだけでは伝わらないことが数多くあります。

電話や対面で話をし、説明の仕方や質問への答え方、声のトーンなどから、「この人なら任せられそうか」という肌感覚も大切です。

3. 家族の「生活」まで考えてくれるか

家族の希望を具体的なプランに落とし込んでくれるか、 その後の経済状況も踏まえて、無理のない提案をしてくれるかも重要です。その際、家族構成やきょうだい関係、親戚との距離感などについても事前にコミュニケーションを取っていると、いざというときの流れがスムーズになります。

あわせて、葬儀や埋葬についての考え方を、日頃から家族の間でも共有しておくと、葬儀社とのやりとりも整理しやすくなります。家族内で方向性が共有されていれば、判断が必要な場面でも迷いが少なくなります。

よくあるトラブル事例

家族が亡くなった後は、以下のようなトラブルが起きやすいため注意が必要です。

●病院提携の葬儀社による高額請求

病院に常駐している葬儀社は維持費がかかっているため、相場より高くなる傾向があります。加えて、病院側ではご遺体を長く安置しづらい事情があり、十分な説明がないまま話が進むことがあります。

前述したように、まずは搬送のみ依頼し、後から比較検討すると安心です。

口座凍結による資金トラブル

銀行に死亡を伝えると、故人の口座は凍結されます。葬儀費用を故人の預金から出したい場合は、預貯金の仮払い制度(※1)を利用するか、あらかじめ相続人全員の合意を得ておく必要があります。

故人の口座から葬儀費用などを引き出す

故人の財産は、すべて相続財産となります。そのため、葬儀費用であっても、相続人全員の理解がないまま大きなお金を動かすと、後々問題になる可能性があります。

また、故人に関することで費用を支払った場合は、必ず領収書を受け取り、使途を明確にしておきます。遺産分割協議時に重要な書類となります。

不要なオプション追加

葬儀社の見積書に「看板代」「提灯代」「特殊な遺体管理料」などが含まれていることがあります。不明な項目は「これはどういうものですか?」と、葬儀社に一つずつ確認し、納得できない場合は即決を避けましょう。

特に、最近ではエンバーミング(※2)をめぐるトラブルが増えているといいます。

片桐さん(ファミリーメモリアル登戸の杜):

「エンバーミングを行えば不要とされる処置(ドライアイスや湯灌など)が、『別途ご遺体保全料』『別途ご遺体チェック料』といった項目で含まれていることがあります。

必要かどうか判断しかねる項目は、その場で決めずに一度見積もりを持ち帰り、別の葬儀社に持ち込んで確認してもらうといいですよ。営業されることもありますが、『この項目はおかしいですよ』と、指摘してくれることもあります」

埋葬のお気持ちになったときに

葬儀や各種手続きが一段落すると、少しずつ日常が戻ってきます。そのタイミングで、多くの方が向き合うのが「埋葬をどうするか」という問いです。

一般墓や納骨堂、樹木葬、散骨など、さまざまな選択肢がありますが、近年は以下のような理由から、負担の少ないかたちを検討する人も増えています。

  • お墓の管理を子ども世代に負担として残したくない
  • お墓の継承者がいない、または遠方に住んでいる
  • 最期は「自然に還りたい」と考えている

自然葬の一つである循環葬®︎「RETURN TO NATURE」は、土壌環境アドバイザー監修のもと、ご遺骨を細かくパウダー状にして、自然循環しやすいかたちで森に埋葬する森林埋葬です。火葬後のご遺骨であれば、四十九日に限らず、時期を問わず受け入れています。

故人の希望は当然ながら、残されたご家族にとっても「納得できるあり方」を見つけてみてください。

納得できるお見送りのために知っておきたいこと

葬儀にまつわる判断は、すべてを即断する必要はありません。

  • 搬送だけ依頼できる
  • 家族にしかできないことがある
  • 葬儀社に任せられることがある

これらを知っているだけでも、精神的な負担を大きく減らせます。

葬儀に関する手続きは多岐にわたるからこそ、事前に知ることや話し合うことは大切です。いざというときに「ゆっくりとお別れができる時間」を確保するために、まずは身近な人と少しずつ話し合ってみることから始めてみませんか。

※1
預貯金の仮払い制度とは、遺産分割が成立する前であっても、一定の金額であれば法定相続人が被相続人名義の預貯金を出金できる制度です(民法改正により2019年7月1日から適用開始)。必要書類や手続きは金融機関によって異なるため、事前に問い合わせておくと安心です。

※2
ご遺体を消毒・殺菌、防腐、修復し、生前の姿に近づけて保存する技術です。遺体衛生保全とも呼ばれます。長期間(10日~2週間程度)遺体を衛生的な状態で保てるため、遠方の親族の到着を待つ、心ゆくまでお別れする時間を持つなどの目的で利用されています。欧米では広く普及しています。

葬儀後の各種手続き一覧

葬儀社がサポートしてくれる場合もあります。担当者に相談してみましょう。

<役所関係>
亡くなった方の本籍地

  • 除籍謄本の取得(相続手続きで必要)

亡くなった方の住所地

  • 国民健康保険・後期高齢者医療保険の資格喪失届と保険証の返還
  • 葬祭費の支給申請(補助金制度)
  • 住民票の除票の取得(年金手続きなどに必要)

<年金事務所>

  • 年金受給者死亡届の提出
  • 未支給年金・遺族年金の請求(受給資格の確認)

<その他>

  • 死亡保険金の請求(受取人の場合)
  • 公共料金や各種通信契約の名義変更・解約

プロフィール

片桐真樹|株式会社貴方の側で ファミリーメモリアル登戸の杜 代表取締役
3,000件を超える葬儀施行を担当。葬儀・終活に関する講座、勉強会、セミナーを年間20本以上。2016年4月~2020年3月 駿台トラベルアンドホテル専門学校(現 駿台観光&ホテル ブライダルビジネスカレッジ)葬祭ディレクター学科学科長を歴任。

[保有資格]
厚生労働省認定 葬祭ディレクター技能審査 1級葬祭ディレクター
一般社団法人 日本石材産業協会認定 お墓ディレクター
一般社団法人 終活カウンセラー協会認定 終活カウンセラー
一般社団法人 日本海洋散骨協会認定 海洋散骨アドバイザー
一般社団法人 日本動物葬儀霊園協会認定 動物葬祭ディレクター

▶︎ファミリーメモリアル登戸の杜


文:南澤悠佳