“人生の終わり”を、家族とどう話していくかー緩和ケア医・関本雅子さん
“人生の終わり”について、家族と話すのは難しい。
そう感じたことはありませんか?
緩和ケアの草分けとして活動してきた緩和ケア医・関本雅子さんは、何よりも“たくさん語り合うこと”が大切だと話します。家族間で「終わり」について話し合うことの難しさと始め方について、お話を伺いました(本稿は、YouTube「ENDIND TV」の要約版です)。
人生会議は、いつもの会話の延長に

関本さん:
「人生会議(※)について、大きく2つに分けられると思うんです。1つは、全国民、今からでも始めましょうの人生会議。もう1つは、1年以内にその方が亡くなってもおかしくないよねっていうくらいの状況の方との人生会議。
前者の人生会議は、親子なり、友達なりで、自分の人生観をいっぱい語り合う。今まで生きてきた思いも聞いておいてもらいたいし、これから私はどういう風に生活をしたいのか。
それから、万が一、私が明日意識がなくなった時に、誰にその意思の代理をしてもらうかをあらかじめ何となくでもイメージをしておいて、その人には特に自分の思いをいっぱい伝えておく。それが人生会議のスタートかなと思うんですね」。
※人生会議(ACP:アドバンス・ケア・プランニング)
もしものときのために、ご自身がどんな医療やケアを受けたいかを前もって考え、ご家族や医療・ケアチームなどと繰り返し話し合い、共有する取り組みのこと。
任された人が、一人で背負わなくてもいい

自分の思いを一番知ってもらいたい相手にたくさん話をする。でも、そのお相手が一人で抱え込むことはないと、関本さんはいいます。
関本さん:
「代理意思決定人という言葉があります。たとえば、私が娘を代理意思決定人と決めた場合、娘がすべての責任を負わなきゃいけないかというと、そんなことは無理なんですよ。
私のことをよく知っている人として娘を指定する。でも、その娘は他の人たちと相談をして、いろんなことを決めていく。そんな感じでいいのかなと思う」。
人によっては、自分の死を自分で決めることに抵抗を覚える方もいるかもしれません。特に親がその場合は、子どもの側から、そっと手助けするようにゆっくりと言葉を探していく──そんな関わりが求められます。
関本さん:
「(本人が)はっきり決めたくない方でも、身内の方や友達がその方の思いをしっかりいろんな機会に聞いておくっていうことがスタートだと思います」。
別れを絵本で伝える

ただ、こうした話をするには、話を聞いてくれる土壌が必要になるともいいます。
関本さん:
「お誕生日とか、みんなが集まったときに息子さんや娘さんに『もう僕たちも年を取ったから、先のことを』と話しかけると、『今、そんな話をしなくても』とスルーされてしまうこともあるみたいです。
今の30代、40代の方たちって、身近な方が身近なところで亡くなるっていうところをほとんど見てないし、知らないですよね。死とすごく縁が遠く、死という現場を知らないからかもしれない。
死生観を学ぶ機会も本当に少ない。学校の中で、そういう話をしていくことも大事なんじゃないかなと思う」。
関本さん自身は、介護の現場などでは絵本を使って、小さな子どもたちに死について伝えることがあるそうです。おすすめしてくださったのは、『わすれられないおくりもの』(スーザン・バーレイ)と『おじいちゃん』(ジョン・バーニンガム)の2冊です。
関本さん:
「(『わすれられないおくりもの』は)アナグマのおじいちゃんが死んじゃうのだけど、森の動物たちがアナグマさんにしてもらったことを思い出して元気になるお話。いろんな”思いのプレゼント”を残していて、こういう生き方ができたらいいなって。
それからこの『おじいちゃん』は、おじいちゃんと仲良しの女の子がいるんですね。女の子はおじいちゃんにいっぱい遊んでもらってるんだけど、おじいちゃんが病気になっちゃうんです。そして最後のページでは、おじいちゃんがいないんです。
別れっていうのが必ず来るんだよって。大好きな人でもいなくなることがあるんだよっていうことが、やっぱりこれ(絵本)を通してわかってもらえたらって思いますね」。
小さな子どもでなくても、こうした絵本のようなツールを使ってみるのも、面と向かっては話しづらいことを話すきっかけになるかもしれません。
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このほか、「緩和ケアとは?」「在宅を選ぶか、病院を選ぶか」「関本さんが考える理想の終わり方」など、さまざまなお話をお届けしています。ぜひ本編(前編・中編・後編)をYouTubeでお楽しみください。
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「ENDIND TV」では、多様な人たちの「生き方」と「死の受けとめ方」をお届けしています。誰もがいずれ迎える“そのとき”を、今、少しだけ考えてみませんか。ぜひYouTubeでご覧ください。
プロフィール

関本雅子(緩和ケア医)
六甲病院緩和ケア病棟(ホスピス)医長を経て2001年関本クリニックを開院。2022年、緩和ケア医の息子・関本剛さんの看取りを経験。現在も緩和ケア医としてクリニックで勤務しながら、サービス付き高齢者住宅にてボランティア活動を行う。
Produce by:循環葬®︎RETURN TO NATURE , おひとりさまリーガルサポート
movie by:Ayaka Hirokawa
music by:WHACK